Stories ライナーノーツ by Y川
恐らくほとんどの方はお初になると思います。初めして、HILARIS主催のY川です。
この度、アルバムをお手に取ってくださった方々、誠にありがとうございます。
オリジナルのインスト30曲入りで1000円(ダウンロードカード)と色々と破格というか、価格破壊というか、
「お前それで精算取れているのか」と各所から突っ込まれそうな気配がします。
今回M3初参加で「どういうサークルなんだろう」というのもあるだろうと思ったので、まずはお試し価格ということで
1000円という価格になりました。(もし、CDで頒布できていれば1500円だったけれど、それでも安いか…)
Disc.1は現代的だったり、ファンタジー系だったり。
Disc.2はSFな感じの世界観のやつが大半といった感じになりました。
あと全体的に通してアンニュイというか、マイナー調な楽曲が多い気がします。
アルバム名が何故「Stories」なのかというと、曲を作る時に世界観や主人公像(大体女性)を先に決めて作ることが多いため。
そして、私の制作スタイルの一つでループ音源(サンプル集)から抜粋して、それを元に肉付け、
アレンジを加えて世界観を作ることもあって「Stories」という名前になりました。
メジャーというか、明るくグイグイ行くような曲が入ってないので好みが分かれるアルバムではありますが、
お手に取って下さった方は何か1曲でも好きなものが見つかれば、私としても幸いです。どっぷり世界観に浸ってやってください。
Disc.1
01. サクラノホロシグレ
Disc.1のイントロ曲。
元々とある公募に応募して見事落選した曲なのですが、日常と非日常を分ける境界的なもの、
ゆったりとしたアンビエント的なものとして作ったので、イントロという位置になりました。
02. 三丁目の文化祭
春ニカ祭2016に投稿した楽曲。
当時Twitterで「お題メーカー」なるものが周りで流行っていまして、自身の今までのTweetを解析して自動でお題を作ってくれる、
という代物がありました。
私もやってみたところ何個かお題が出てきて、その中の一つが「三丁目の文化祭」だったわけです。
「三丁目の文化祭」と見た時に明るい感じがパッと頭の中で展開され、「よし、明るいニカ曲を作ろう!」ということで、
パッパッと作っていたらこんな感じになりましたとさ。
ストーリーとしては路地裏に迷い込んだ少女がそこで不思議な光景に出会い、そこでの祭りを楽しんで最後に現実に戻されるという、
そんな感じです。
作ってる時は自身として珍しく明るいピンク色のイメージで作っていたのですが、今聴くとパステルカラーのような気がします。
03. つまらない日が続いた少女の夢
春ニカ祭2018に投稿した楽曲で、このアルバムのジャケットをイメージして制作した楽曲。
空雪さんからジャケットがあがったきた際に、このジャケットをイメージして作った曲が一つはないとマズイな、ということで
頑張って作った曲です。
この曲も日常と非日常の境界を分けるように制作しまして、何故電車内の環境音や踏切の音が入っているのか、
というのは皆様の解釈に委ねようと思います。
04. 12 o'clock
あるサンプル集のピアノメロディを聴いた時にアイディアが浮かんで(実は結構ある)制作した曲。
ニコニコに投稿したものと比較してこちらには学校の環境音が入っていたりします。
改めて聴いた際に甘酸っぱい青春モノが浮かんだので入れたのですが、世界観が拡張されたかどうかと問われれば、どうなんだろう。
05. Water Clock
4曲目と続いてタイトルに時計が付いてる曲。
元々は専門学校時代にコンペがありまして、そこに応募して落選した楽曲です。
退廃的な世界観が好きだったために、このままでは勿体ないの精神で色々と改良を加えてたら5分20秒という長さになり、
それをニコニコに投稿したら意外にも周りには好評だったという経緯があります。
そのコンペの合格曲を聴いてみたらハイテンポのやつばかりが受かってまして、色々と察し勉強になった思い出があったり。
06. Film
春ニカ祭2013が初出で、後に2年の歳月を経て春ニカ祭2015にてロングverを投稿。
実は2014年の4月には既にロングverが制作済みだったのですが、その頃は自分が作ったオリジナル曲に自信が無くなっていた時期でしたので、投稿するかどうか躊躇してました。(今でもあまり自信ないですけど…)
ですが、投稿したら自身のオリジナル曲としては初めて再生回数が1000を超えてビックリ。
ニコニコインディーズで再生回数1000を超えるのは、ヴォカロ曲で1万再生超えるのに同じぐらい大変と言われているのもあり、
大変驚愕したのと同時に嬉しかった出来事でした。
Electronicaというと何だか違うような感じなので、自分の中でこの楽曲はChillnicaというジャンルにしています。
勿論Chillnicaというジャンルはまだ明確にはこの世にないとは思いますが、
私はこれからも同じ感じのもの作ったら公言していくつもりです。
07. モノクロ
タイトル通りモノクロ調な感じを目指して制作した曲。
工業地帯で働く労働者的なものをイメージして作ったので、インダストリアル的な音が入っていたり、
何かそこで流れてそうなラジオボイスが入っていたりと、雰囲気作りはやけに頑張った記憶があります。
ジャンルはLo-fi Hip HopかTrip Hopになるのだろうけれど、そこら辺の詳しい定義がまだわかっていないので何方か教えてください。
08. グレースケール
どんな曲を作ろうかと煮詰まっていた時に、空雪さんからお題を頂いて作った曲。
何処かを彷徨っていて最後には脱出、解放されるというもの。
彷徨っている感じを出すために靴の音のパンをあっちやこっちにしたり、主人公の内面にある苦悩が感じられる音色にしました。
09. Trip
「そうだ、Trip Hopを作ろう!」といきなり思い立ち作ったもの。
アルバムに収録する曲を決めていた時に渋い感じのやつがあまりなかったので、1曲か2曲は入れたいというのもありました。
こういう曲が好きだ、という方は7曲目にもジャンル名を書きましたが、
Trip HopとYoutude等で検索すると幸せになれるかもしれません。
10. Stroll
専門学校時代に卒業制作の一環として制作した曲です。(もう既に5年経過していることに驚きを隠せない)
私自身Chill Outが好きなので作るのはいいのですが、今回のアルバムだとこれ以外にChill Outの曲がないので何処に置くか、
というのをすごく悩みました。
Chillstepはあるけれど違うよな~、という感じで最終的にこの後の橋渡し的な位置となりました。
この後の楽曲郡がSteampunk、ファンタジー系のような感じになるので、休憩も兼ねて丁度いいのかなと思います。
11. 廻世界
前に某MMOのBGMをスチームパンク風にアレンジしたらアメリカ、日本のプレイヤーから好評だったので、
「そしたら、息抜きに3拍子でスチームパンク的なオリジナルものでも作ろうかな」と思って制作しました。
「歯車が回って動いてる、成り立っている世界だからタイトルは廻世界にしよう」と、意外とタイトル決めは安直だったりします。
スチームパンクといえば油というか、泥臭いイメージが個人的にはあるのですが、この楽曲にはあまりそれがないですね。
SFの一種ではあるのですが、Fのファンタジー要素が強いから聴きやすいのかなと思ってたりします。
そういえば、中盤でラジオノイズと一緒に鳴っているバックの音が何だか分からない、という質問を前にされたので答えますと
あれは汽車の汽笛の音です。
12. Magicpunk Clockwork
春ニカ祭2015に投稿して、ニコニコインディーズタグでのランキングで最高7位を記録し、2回目の快挙を成し遂げた曲です。
まさかTOP10内に入るとは思っていなかったので、大変嬉しかったです。(嬉し過ぎてスクショも取りました)
スチームパンクの世界観を軸にしてElectronicaとDrum'n Bassを合体させたら面白いんじゃないか、と思って制作しました。
そしたら、あらまあ、今まで生きてきた中で聴いたことない曲調になりまして、改めて聴いてもビックリしますね。
「本当にこの曲、私が作ったの!?」という感じです。
主人公は時計屋の少女で、その子の冒険活劇を描いた曲でもあったのですが、そのことはイラストを描いて頂いた方には
「好きなように、感じたままに描いていいよ」とのオーダーを出していたので伏せていました。
ですが、出来上がったものが送られてくると「それっぽい少女」のイラストだったので、裏でガッツポーズ。
自分で作った世界観が他の方にちゃんと伝わるかどうかは、イラストを頼む際に上記のオーダーでやるのが一番の確認方法です。
少々リスキーではありますが…。
13. Brown
労働者ソングその2。
蒸気溢れる世界で労働者が酒場か何処かででワイワイ・ガヤガヤしてそうな雰囲気をイメージして作りました。
スチームパンクのちょっと油臭い・泥臭い感じを感じて頂ければこれ幸い。
ちなみに、中盤に入ると英語で何か言っているものが聞こえますが、あれはワイルドターキーのことを言っています。
お酒が飲めない私にとっては全く縁のないものですが、このような世界で働いてる方々はウイスキーとか飲まないとやってけない
ような感じがしたので。
14. Under Steam
工場の入り口、表面部分を想定した曲です。
全体的に神秘的な感じですが、ちょっとしたアクセントでスクラッチの音を入れて陽気さをプラスしてみたりだとか、
工場の環境音が入っていたりだとか、これまた何か色々してます。
次の曲もそうなのですが、BPM128付近の曲を作るのは久々だったので、作っていて非常に楽しくて色々足しちゃったかも?
しれません。
15. Missing Pieces
工場の深奥、裏の曲。
どこか欠けている人、ロボット達がそこらへんをウロウロ歩いていて、何かのシステム音や機械の動く音がずっと鳴っている。
そんな実験場のような場所をイメージして作りました。
子供の頃はエゲツナイものや展開がくると目を閉じて、それが終わるまで絶対に開けないようしてたのですが、
大人になってからは耐性が出来たのか、今では割と見れるようにはなりました。大人ってすごい。
エグイとは言っても、この曲はかなりマイルドな方だとは思っています。
Disc.2
01. No place
Disc.2のイントロ曲。
前に息抜きで制作したもので、曲の時間も短いしSF的で漂っている感じがして2曲目に繋ぐのにもピッタリだったので急遽抜擢。
旧題は「No place , no friend」だったのですが、なんかあまりにもあれだったのでタイトル変更しました。
02. Fragment
ふわふわと電子の空間を漂っているような、そんな曲です。
旧題が「漂い娘」だったのもあり、それを意識して作りました。
ブレイクのところでそれぞれが何かを言っていますが、作った本人は何を言っているのか分かっていません。
そして、この曲は今使用しているPCの2個前の時代に作ったものなので、データ自体も残っていませんし、(バックアップ取ろうね)
何の声ネタを使ったのかという記憶もさっぱりないので、今でも首を傾げています。使用しているループ音源は分かるんですけどね。
専門学校時代に「所属しているゼミでどんな曲を作っているのか」をそれぞれのゼミが発表する場がありまして、
発表する2週間ぐらい前から曲を選ぶのですけど、私の曲は「クラブモノではあるけれど、徐々に変わっていくから普通の人が聴くと分かりにくい。上級者向け。」と判断されて、発表の場では流されなかった経緯があったり。
その時に提出したのは6分あるヴァージョンだったと記憶してるので、展開的にミニマルな感じだったのだろうと思います。
現在手元にはこのヴァージョンしかないので、旧ヴァージョンは何処へ…。作ろうと思えば作れそうな気がしますが。
03. Elena Stromell
某MMOで使用していたキャラクターをイメージして制作した曲。
そのキャラクターの見た目やストーリーが私の趣向にドツボでして、あの時は頑張ってプレイしてたな~と。
どんな職業でどんな見た目のキャラクターを使用していたかは調べれば出てくるとは思いますので、ここでは割愛します。
04. Retect
某有名サークルの公募に応募して落選した曲です。
ニコニコに投稿した際のコメントを引用すると「ゆらゆらとSF的空間を遊泳散歩なDnB」、恐らくそのまんまだと思います。
タイトルはRe + TectでRetect。この単語自体がそもそもないので造語になります。
個人的には気に入っている曲なのですが、公募はこういう曲よりもアゲアゲでノリやすいものの方が受かるんだろうなと再認識。
私の作る曲はクラブで流すというよりかはリスニング向けなような気がするので。
空雪さんにアルバム制作時に聴かせた際、「こっちはなんかロリっぽい感じがする」とのことだったので、
それが落選理由なのでしょうか。確かに主人公を幼女に想定して作りましたが、それは違うんじゃないかと思いたい。
Disc.2のレーベルに描かれているイラストは、この曲をイメージして描いてそうな気がするのですが、どうなのだろう。
あとで空雪さんに聞いてみようと思います。
05. Cyberienth
空雪さん曰く「こっちは年上、艶っぽい感じがする」曲の方です。
実験体が脱出して近未来の街中で追手から逃げている、というストーリーものです。タイトルはCyberとかけた造語。
某料理対決ジャンプアニメで、あるキャラクターの回想シーンでピアノの曲が流れるのですが、
あれと同じサンプルをこの曲でも使用しています。
あちらの方はバックの音を何も足さずにそのまま使用しているので「そっちに回す予算がなかったんだな」という、
なんとも制作現場の悲しい事情が垣間見えます。
06. Letter
某有名サークルに公募してら…ry
「オリ〇ポスの郵便ポスト」という小説の1巻を読み切った後に制作した楽曲です。
火星で郵便屋として働く少女の物語なのですが、どうも昔から郵便モノには弱いですね。
「ぽ〇たるWORK」も好きですし、最近だと「鳩〇のあやかし郵便屋さん。」も好きですね。
どうやらSFか、のんびりまったりしている作品が好きなようです。
07. Chillin
「そういえば、真面目にChillstep作ったことがなかったな」と思って制作。
あとChillstepを音ゲー尺にしたらどんな感じなのか、という実験も兼ねてます。
音ゲー的にはワブルベースが入ってたり、もっと展開があった方がいいような気もしますけど、まあ実験ということで。
個人的にはワブルベースが飛び交っているものよりも、こういうベースが鳴っているChillstepの方が好きですね。
Chillinだからチリンと鳴るものでも入れればよかったかな、と後から思ってみたり。
08. Metrovoice
自分らしいDubstepってどんなものか、と思って専門学校時代に制作した曲。
専門学校時代に作ったものはもうちょっと尺が長かったんですけど、ダレルかなと思って短くしました。
ミックスもちょこっと変えました。
近未来的な都市をイメージして作ったので、タイトルはMetrovoiceとなりました。勿論造語です。
カラーとしては白と青ですし、空港かどこかのアナウンスを入れようと試みたんですが、合わなかったのでそのままです。
09. Center Call
仕事でヘルプデスクサポートをしている際に、「今のこの状況を面白くして何とか曲に出来ないか」と思って作ったものです。
曲としてはSFなストーリーを感じさせる内容になってますが、「そういうものを作らないとやってられなかった」というのもあり、
私なりの現実逃避だったりします。
まあ、どんなに現実逃避してもクレーム対応が多くて精神やられたり、アルバム制作等で4月初旬からぶっ倒れるのですが。
倒れた際にもう二度とヘルプデスクサポートはしないと固く決意しました。
10. Byte
「Disc.2にも何か一つ渋い曲が欲しいな~」と思って制作したもの。
渋い = Technoという時点で安易な気がしますが。
自分自身で作るのにどれぐらいかかるか、タイムアタック的なことをしながら作ったと思うのですが、
完成にどれくらいかかったのか正確なところがばっさりと記憶にないという。2時間ぐらいだったような。
11. Incert
なんかポチポチと作っていたら出来たものという、あまり記憶に残っていない曲。
「In + cert , Insertとかけて作ってたはずなんだけどな~…」とここまでは思い出せるものの、世界観が未だ思い出せないままです。
本当になんだったっけ。
10曲目のByteと同じ時期に作っていてぶっ倒れる直前のやつなので、それで記憶が曖昧なのかもしれないです。
12. A.I
私の好きな音ゲーで「DJ〇AX」というものがあるのですが、そのゲームの収録曲の中で個人的TOP3に入るもので「A.I」という曲がありまして、「私も人工知能をイメージした曲を作ろうかな」と思い立ち制作。
あちらはどういう世界観かは作者のみぞ知るな感じですが、こちらは人工知能に感情を与えたらどうなるかという、
今ではベタなものをイメージして作りました。
こういう未来じゃなくて、A.Iと上手く共存できてまったり暮らせればと思っています。
13. I Land
私が国、というなんともなタイトルです。
統治している本人にとってはユートピア、実際のところはディストピア。
この社会に対して反逆・抵抗するレジスタンスですが、結末や如何に。
14. Marie Campbell
次の曲、Marie Carolの姉妹曲で双子の狂っていない方、お姉ちゃんの方になります。
魔導書に憑かれて狂ってしまった妹を元に戻すために旅をしている。でも、お金もないし身分も低いので路地裏生活をしながら
なんとか手掛かりを探しているという、物語でいう冒頭に位置するような曲です。
絵が描けるようになったら、このお姉ちゃんの物語を描いてみたいです。
15. Marie Carol
双子の狂ってしまった方、妹ちゃんの曲
楽曲自体も今まで作ってきた中で一番ヤバめなものなので、なんだろう、作者の性癖が滲み出ているというか。
元々はRoughSketchさんのGrimmやAlice in voodoolandのような世界観を作れればな~、と実験も兼ねて制作した曲です。
じゃあ何故、ガバではなく早いシュランツなのかと突っ込まれると思うのですが、そこはノーコメントで。
ちなみに、お間違いないように言うと笑っているのが妹で、泣いているのが姉です。
某K社の公募に空雪さんと一緒に応募したのですが、そりゃこんな世界観の楽曲落ちますよね。